251 / 1502

第251話

「で、吉田は相変わらずか?」 「? どういう意味ですか?」 「吉田って中川の事好きだろ」 吉田の想いは担任にまでバレていたらしい。 「正宗さんにまでバレてるんですね」 「あれ隠してんのか?」 「本人は至って真面目に隠してますよ」 「…解りやすいな。 あれなら中川も気付いてんだろ」 「そうですね。 でも、普通に接してくれてます」 あれだけの好意を向けられれば嫌悪するかと思いきや、知佳ちゃんは他の友人と同じ様に接してくれていた。 その態度は吉田の友人としてとても有り難く感謝しているが、知佳ちゃん本人はどう思っているのか時々不安になる。 迷惑だと思っていなければ良いが。 「俺も遥登の事すっげぇ好き」 「あ、の、俺も…好き、です」 「好き。 バレたらやべぇって解ってても、とまんねぇ」 くしゃりと髪を掻き混ぜられ、その手の力強さにドキドキする。 「とまらないで…」 ぽつり、口から漏れた本音はあまりに小さく部屋に消えていく。 聴こえてない。 そう、思ったのに。 「とまんねぇよ」 そう、返ってきた。

ともだちにシェアしよう!