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第258話
「遥登」
やわらかい声。
恋人の長岡だ。
そう解る声に、三条の尻尾がゆっくり大きく揺れだした。
今にも頬擦りしそうな可愛らしい顔。
首を傾けると三条はきつく目を閉じた。
三条といると心が何かで満ちていく。
チュ
触れるだけの可愛いキスをされ、三条は嬉しそうに頬を染めた。
「隠れてキスなんて久し振りだな」
「はい」
「可愛い顔して。
悪い大人に喰われんぞ」
「……正宗さんなら、それで良いです」
「かわい」
今度は細い腰を抱いてキスをする。
下唇をやわらかく食み弄ぶ。
恥ずかしそうに顎を引いた三条に行為はエスカレートしていく。
頬を撫でながら、唇をぺろりと舐めるとおずおずと口を開けた。
こんな時でも教えた通りに素直に動く可愛い遥登。
舌を舐め上顎を擽る。
「ん、ぅ…ぅ」
ぽわっと纏う空気を色っぽく変え、とめられない。
「遥登、舌出せ」
控え目にべ、と出すと直ぐ様それは掬われた。
ぬるぬると触れ合う舌。
ピクニックキスだ。
「…っ」
甘く噛まれ肩が跳ねた。
エロ過ぎて心臓が痛い。
唇を合わせながらのキスより舌だけを触れ合わせるキスは変態的で、はしたなく興奮する。
きつく瞑っていた目を三条は好奇心から少し開けた。
目の前には同じ様に此方を見ている綺麗な目。
くりくりした目をさらに大きくすると、長岡の目は反対にいやらしく細められた。
舌を出して驚いた顔をして、なんとも間抜けだろう。
舌が離れていくと混ざりあった2人の唾液が繋がった。
「えっち」
「…それは、正宗さんです…」
「ん、俺はえっちだな。
でも、可愛い恋人の可愛い姿が見てぇなんて当たり前の事だろ」
そもそものこのこと着いて来ておいてセックスの期待がなかったのかと聴かれれば……愚問だ。
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