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第278話
扉の開く音に顔を上げると同室の職員が戻ってきた。
長岡の顔を見て、あれ?と首を傾げる。
「あれ?
長岡先生、いらっしゃったんですか」
「お疲れ様です。
少し仕事を片付けてから、昼にしようと思いまして」
「真面目ですね。
みんな、長岡先生を待ってますよ。
俺が行ったら長岡先生じゃないのかって言われました…」
乾いた笑いしか出来ない。
その整った顔立ちも恵まれた体型も、長岡にしてみれば興味のない事。
利用出来る時は有り難く使うが、後は三条が好きだと言ってくれるのが嬉しい位で気にした事もなかった。
だが、特に年頃の女子生徒はきゃーきゃー言ってくれる。
スペック重視の奴は学生の頃から同じ反応だ。
中は本の虫。
お世辞にも良い性格とは言えない。
それを隠す見た目になんの意味があるのか。
「昼は混みますからね。
早めに行かないと」
時計を見ると11時を少し過ぎた頃。
昼には早いが、11時半を過ぎると来客も昼飯を求めだす。
早めに行くに越した事はないか。
「そうですね。
行ってきます」
「気分転換もして来てください」
縮こまっていた筋肉を動かすと節からパキパキと空気の潰れる音がした。
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