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第287話
最高の目覚めだ。
起きてまず視界に入るのは長岡。
そして、身を包む長岡のぬくもりとにおい。
背中に回っていた手が、何故かスウェットパンツの中につっこまれているが寒かったのだろう。
気持ち良さそうな寝息に顔を上げると綺麗に整った顔がすぐそこにある。
そっと髭の伸びた顎に触れた。
真面目な長岡先生のこんな姿を誰が想像出来るだろうか。
今は俺だけの正宗さん
骨ばった鎖骨に額をくっ付けすりすりと甘えた。
本人が起きていなければ素直になれるのに、起きてしまうと恥ずかしくて出来ない。
今の内に堪能しなければ。
暫くそうしていると、腰を抱いていた手が背中を擦った。
顔を離すと低くて甘い声が降ってくる。
「遥登、おはよ」
「おはようございます」
「先に起きたら起こせって言ってんだろ。
起こしてくれよ」
「今起きました」
ちゅーと近付いてきた長岡の唇を三条は手で受け止めた。
「歯磨きがまだです…」
「…ったく。
じゃ、歯磨き行くぞ。
んで、今日はベッドの上で自堕落に過ごすからな」
眉を下げながら笑う三条の手をひき洗面所に向かう姿は子供の様だ。
この姿だって、俺だけ。
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