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第315話
髪から垂れる水滴が広い湯に波紋を残し消えていった。
湯船に浸かる三条は事後のせいかぼーっとしている。
「遥登、疲れたか?」
「んーん…」
「眠いな?」
「…ん」
後ろから伸びてきた手が三条を抱き締める。
ここまでぐったりとすれば、抵抗もなにもない。
肩に頭を乗せる様に身体の向きを変え、甘やかす様に背中を擦る。
「飯まで寝ようか。
起きたら一緒に飯食って、ゆっくりしような」
「ん…」
素肌同士の触れ合いはこの上ないしあわせだ。
それがセックスだろうがそうでなかろうが、こんな無防備で体温が感じられて心音さえ分かるのは心地良い。
流石にこの季節になればパンツだけで昼寝なんて事はしないが、あれはあれで良いものだ。
「正宗さんも、寝ます」
「ん、俺も寝る。
遥登いんだからな」
ふにゃぁふにゃぁと表情筋緩めて頷いた。
眠くなり何時も以上にとろとろしてきた
恋人は自分から甘えてきたりとても可愛い。
三条は解りやすいが、素直になりきれないというか人に迷惑をかける事に遠慮する。
ブレーキが緩くなるのだろうか。
すりっと額をくっ付け嬉しそうな顔を惜し気もなく見せてくれて嬉しい。
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