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第320話

「やっぱ、もう少し」 「え、」 シャツを捲り上げ薄い腰にも噛み付いた。 キスマークの消えかけた身体に新しくマーキングを施し、自分のものだと子供の様な独占欲を撒き散らす。 「ぃ"っ」 鈍い声だ。 普通の恋人ならこの声に顔を上げるのだろう。 だけど、独占欲の強い長岡に誰かの普通なんてものは通用しない。 それどころか、そんな声を出しながらも抵抗しない恋人に嬉しいとさえ思う。 腹筋の上に貼り付いた皮を吸い、ベルトをせずブカブカの腰周りギリギリにも痕を着けていく。 「正宗さん、あの…」 「ん?」 「寝汗、かいてるかもだから…」 「今更だろ」 下着のウエストゴムに指を引っ掛けパチンと手を離す。 その刺激にはピクッと肩を跳ねさせる三条に向かって、やわらかく微笑んだ。 「大人って狡いです」 「遥登はまだ子供のままでいてくれよ。 もっと見とかねぇと勿体ねぇ」 一際強く吸い付かれ真っ赤に鬱血した痕をすらりとした指が撫でる。 まるで確認するかの様に、ゆっくりと優しく。 その愛おしいしそうな顔に胸がきゅぅっとときめく。 「正宗さん」 「ん?」 「……口、も」 長岡は顔を綻ばせると、その口をちゅぅっと吸った。

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