331 / 1502
第331話
ごろんとベッドに寝転ぶとスマホに手を伸ばした。
今日は重い物ばかりを運んで腰が痛い。
でも、頑張る理由があるから頑張れる。
頑張る。
スイスイと画面を撫でながらぼーっと画面を眺め、ふとその手を止めた。
正宗さん、なにしてるかな
土日もバイトを詰め込み、会えない寂しさを紛らわせる様に働いていた。
でも、ふとした瞬間、長岡の笑顔が頭に浮かぶ。
低くて落ち着く声が優しく自分の名前を呼んで抱き締めてくれる。
良いにおいに包まれるとただしあわせだと実感するんだ。
今までだってテスト期間中は会えなかった……って、学校では会えてたな…
高校時代はそれこそ毎日会っていた。
平日は担任と教え子、休日は恋人として毎日顔を見ていて、会えなかったのは長期休業中とテスト期間中の休日位。
先日一緒に夕食を食べたがほんの僅かな時間に思えた。
それ程恋人に餓えている。
長岡も恋人に滅法甘く溺愛しているが、それは三条も同じ。
きちんと好き合っている。
会えなくて寂しいとも思うし恋しくなる。
女々しいと思いつつも、長岡もそうだと良いな思う。
勉強机の上には飴玉の入っていた空瓶が並んでいる。
その数だけ一緒に時間を過ごしてきた。
三条は少し考えてから通話アプリを開きメッセージを送った。
ともだちにシェアしよう!

