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第333話
遥登…?
疚しい事を考えていたのがバレたかの様なタイミングでスマホはメッセージを受け取った。
差出人は恋人。
内容に承知の短い言葉を返すと、今度は今度は画面に恋人の顔が映った。
「よ、遥登」
『こんばんは。
夜分すみません』
「こんばんは。
気にすんなよ。
どうかしたのか」
『…少し声が聴きたくて』
恥ずかしそうにはにかむ三条が見える。
「俺も」
今度は嬉しそうに笑った。
「バイト頑張ってんな。
今日もお疲れ様」
『正宗さんは毎日働いてますよ』
「大人ですから」
『大人みたいな事言いましたね』
「とっくに成人してるしな。
ま、しててもそれまでとなんも変わってねぇけど」
ふわふわと笑う恋人に部屋があたたまっていく様だ。
なんてあたたかく穏やかな気持ちが満ちるのか。
この子は特別だ。
さっきの気持ちはもう吹き飛んだ。
『あの、バイト今週までで…水曜会ってもらえませんか』
「良いに決まってんだろ。
待ってる」
『はい…っ』
とびきりの笑顔が咲くと、それだけでしあわせだ。
尻尾を振り嬉しそうにする恋人に早く触れたい。
「ぜってぇ定時で帰るから一緒に飯食おうか」
『はいっ』
思ってもみなかったご褒美に長岡も嬉しそうな顔を隠す事なく晒けだしていた。
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