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第336話
「何してんの?」
「綾登と遊んでんの。
優登にもクリスマスプレゼントあるよ。
イブだけど」
「マジっ!」
眠い目を擦りながらリビングに顔を出した次男は、クリスマスプレゼントの言葉に直ぐ様食い付いた。
「ゲームソフトじゃねぇからがっかりすんなよ」
「えー…」
ほら、と紙袋から取り出したプレゼントを差し出すと大きさから本当にゲームソフトではない事を理解したらしい。
じゃあ、なんだ?と早速包装を解くと中から出てきたのプレゼントに優登の目がキラキラと輝いた。
取り出されたのは、優登に似合いそうなオレンジ系のあたたかな色のカーディガン。
「カーディガン!
な、似合う?」
「似合う。
気に入ってくれた?」
「勿論!」
オレンジ過ぎずキャメルの混じった様な色は少し派手かとも思ったが、よく似合っている。
深い緑の物と迷ったが、この色を見付けた時にお菓子を作っている時の甘いにおいが甦ってきて優登にぴったりだと思った。
キャラメルの様な、パウンドケーキの様な美味しそうで甘い色。
その後も、派手で学校では着れないだろうと悩んだが家で着てくれれば良いと思い購入した。
「兄ちゃん、ありがとう!
大好き!」
「どういたしまして
俺も好きだよ」
「綾登、見て。
良いだろ」
涎塗れの手がセーターに伸びるとひょいと届かないよう上に上げてみせた次男。
それが面白かったのか足をバタバタさせながら喜ぶ末っ子。
喜んで貰えて良かったとにこにこしながら見守る長男。
洗濯をしていた母が戻ってくると兄弟3人で楽しそうにしていて目を細めた。
もう1人のサンタは夕方にプレゼントを抱えて帰ってくる。
その人にも見せたい光景はとてもあたたかくしあわせだ。
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