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第338話
遥登と過ごすクリスマスは4回目だ。
1回目は遥登が頑張ってくれたから過ごせた、奇跡のような日だった。
それからそんなに時間が経ったのか。
部屋を見上げると、カーテンの隙間から光が溢れていた。
あの小さな部屋に三条が居てくれると溢れんばかりのしあわせで満たされる。
あの光は、しあわせの様だ。
早くそれに包まれたい。
滑らない様に、だけど早くなる足を止めず階上を目指す。
ポケットから鍵を取り出しながら階段を上りきり部屋の前へと来ると、美味そうなにおいがしてきた。
もう緩む頬を抑える事はやめだ。
鍵を差し込み、捻る。
その音を聴き逃すことなく、遥登は来る。
「ただいま」
「正宗さん、おかえりなさい」
「ただいま、遥登。
土産」
扉を開けるとあたたかな空気と光、そして笑顔が出迎えてくれた。
白髭のおじさんが微笑む箱を掲げて見せるととびきりの笑顔が咲く。
自分を出迎えてくれた時の顔より良い顔なのは悔しいが、この店のフライドチキンならそれも解る。
まだまだ食い盛りの大学生だしな。
「ポテトも買ってきたから沢山食えよ」
「はいっ」
「それから」
「?」
ぎゅぅぅと抱き締めると恋しかった体温が心をあたためてくれる。
首に顔を埋め、においまで堪能する。
清潔な良いにおいに美味そうなにおいが交じって愛おしくて抱き締める腕に力を入れると、背中に手が回った。
「おかえりなさい」
「ん、ただいま」
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