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第341話
「やっぱ3つじゃ足んねぇか」
「大丈夫です。
他の料理もありますし足りますよ」
もぐもぐと頬袋を膨らませる三条は大袈裟だと言いたげな顔をするが、三条はそりゃよく食う。
線の細さなら田上吉田に比べ弱々しいが、食欲は確実に1番だ。
本人曰く、沢山食べるが一応人並みの食事でも大丈夫らしい。
言われてみれば、2人前と言っても焼きそばとスープだけの食事でも足りている様な気もする。
「まだ食えるだろ」
「……大丈夫です……」
「ん?」
「…なんでもないです」
頬を染めながらフライドチキンに齧り付く三条に疑問符ばかりが浮かんだ。
同じくフライドチキンに齧り付いていた長岡は食べきると、その手をウェットテッシュで拭う。
なに恥ずかしがってんだ…?
ティッシュを捨てようとして、1つ思い浮かんだ。
「あ、もしかして」
「?」
「へぇ?
まさかな」
「…なんですか」
まさか、この“後”の為か。
自主的に講義を受けに行く様な真面目で正行気品な優等生も男の子だ。
ニヤ付く口元をそのまま話を続ける。
「んじゃ、俺も体力つけとこ」
「……何を言っているのか…分かりません…」
「別に?」
烏龍茶を飲みつつ様子を伺っていると、それに気付いた三条はまた一口肉に齧り付いた。
精一杯の照れ隠しが食う事なんて可愛いったらありゃしねぇ。
「今日、泊まってくか?」
「…………良いんですか?」
「勿論」
骨付き肉も綺麗に食べ進める恋人の尻尾が揺れた。
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