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第344話

「遥登、すげぇ好き。 愛してる」 「俺も…愛して、ます」 恥ずかしがりながらもきちんと気持ちを口にすると恋人は綺麗な顔で微笑んだ。 まず1つひとつのパーツが綺麗だ。 目玉も骨格、声さえも。 体温の低い恋人の大きな手が頬から耳、耳から後頭部を撫で唇を塞いだ。 なんてしあわせな行為だろう。 唇を触れ合わせる。 こんな簡単な行為がこんなに嬉しくて、こんなにしあわせな気持ちになれるなんて長岡と付き合うまで知らなかった。 「遥登」 ぺろりと唇を舐められ、口を薄く開くと舌が入ってくる。 ぬるぬると触れ合う舌がたまらなく恥ずかしくて、手をきつく握り締めると上顎を擽られ肩が跳ねると同時に長の腕を掴んでしまった。 「下手くそ」 「…正宗さんが上手いだけですよ」 「へぇ、俺上手いのか」 「正宗さんしか知らないですけど……」 「これからも俺だけにしろよ」 嫉妬に狂うからな、と付け加えられ、長岡が嫉妬してくれる事実が嬉しく思えた。 この人も嫉妬してくれるんだ。 ちゅっ、ちゅっ、と可愛らしいキスを顔中に降らせる長岡に、三条からも小さくキスを返した。

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