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第361話

長岡のスマホのアラーム音に目を覚ましたのは、持ち主だけではなかった。 「ん……、朝…」 「悪りぃ、起こしちまったか?」 「おはようございます」 「はよ。 でも、大学行くまで時間あんだろ。 もう少し寝てろ」 甘やかす様に頭を撫でられ、寝起きの目が更にとろんと蕩けてしまう。 気持ちの良い手にうっとりしてしまうが、早々に出勤してしまう長岡ともう少しだけでも一緒にいたい。 眠い目を開けると、大きく口まで開いてしまった。 「俺も起きます。 喉、乾きました」 「沢山喘いだしな」 「…それは、」 朝からこんな顔が見られるなんて贅沢だ。 綺麗な顔で穏やかに微笑む恋人は学校では決して見る事が出来ない。 今日は良い日になりそうだ。 「あー、毎年思うけど有休にしとけば良かった」 「あと2日で仕事納めですよ。 俺もバイト終わりましたし、またお邪魔しても良いですか?」 「当たり前だろ。 そうか今年は9連休か。 んじゃ、頑張って稼ぐからダラダラ過ごそうな。 本買っとくし」 「楽しみですね」 ベッドに寝転んだまま、本当に嬉しそうに微笑む三条を見る長岡の顔といったらない。

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