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第367話

目の前のバナナケーキに三条はにこにこと屈託ない笑みを称えていた。 優登の作るお菓子は甘さ控え目でくどくなく幾らでも食べられる。 「んま」 「本当? やった!」 もぐもぐと頬袋を動かしながら頷くと、母そっくりの顔で喜んでくれた。 喜ぶのは此方の方だ。 こんな美味しいおやつを作ってくれてとても嬉しい。 一緒に炬燵で食べていた母も美味しいと褒た。 難しい年頃でも褒められればありがとうと返し、はにかんでいる。 「1本余裕で食える」 「そんなにかよ」 「んんーっ」 「ん? 綾登も飲むのか?」 炬燵の上に手を伸ばす綾登にマグを渡すと上手に飲みはじめた。 ストローが使える様になった綾登はご機嫌で麦茶を飲む。 「綾登も一緒に飲もうね」 母の手に撫でられ嬉しそうに笑う末っ子はやっぱり可愛い。 「な、お代わりも食べて良い?」 「うんっ! 勿論!」 優登も生意気盛りで、だけど素直で可愛い。 厚めに切られたお代わりにふにゃふにゃ笑いながらそれもぺろりと食べきった。

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