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第371話

唇が離れていくと三条はごくんっと生唾を飲み込んだ。 「何緊張してんだよ。 沢山してきたろ」 「だって…」 「だって?」 「…………ローション、満喫する…って、意味…」 「そういう意味だけど、遥登がしたくねぇならしねぇよ。 無理矢理はしねぇから安心しろ」 確かに、いやらしい気持ちでローションを購入したが三条が嫌がる事はもうしないと決めた。 いや、あれはあれですっけぇ興奮するが三条を傷付けたい訳ではない。 愛したい。 愛していると伝えたい。 愛しい恋人を感じたいだけだ。 「でも、キスはさせてな」 もう1度唇を触れ合わせると、三条の唇が動いた。 「……今は朝、ですから」 「夜なら良い?」 小さく頭が上下する。 サラサラした髪が揺れ動き、真っ赤になった耳が見えた。 マグを持ったまま動かない恋人の髪を優しく撫でると、どこか嬉しそうな顔をするからたまらない。 本当にこの子といると落ち着くし、笑ってばっかりだ。

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