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第375話
ローテーブルに並ぶ2つの黄色。
その内の1つに箸を伸ばす長岡はご機嫌だ。
「うめぇ」
「良かったです」
もう1つの方もすごくうまい。
三条の分まで食ってしまいそうだ。
「正宗さんって魚好きですね」
「そうか?
普段炭水化物ばっか食ってるから反動じゃねぇか」
1人だと、つい麺類や炒飯なんかの手軽で腹が膨れてエネルギーになる物ばかり食べてしまう。
そろそろ食べ物にも気を使わないと中年期になる頃が恐ろしい。
中年腹だけは嫌だ。
遥登に格好良いと言って貰えなくなってしまう。
隣の恋人を一瞥するとそんな事は杞憂だと思った。
この子は人を外側だけで判断したりしない。
きっと、腹が出ても格好良いと思ったら格好良いと言ってくれるだろう。
三条はアボカドとサーモンを一緒に巻いた物を頬袋いっぱいに噛み締めている。
「美味そうな顔。
サーモンとアボカド?」
こっくんと頷いた三条と同じ物を作る。
醤油を垂らして齧り付いた。
「うめぇ。
やっぱ定番は外れないよな」
笑顔と食う飯はそりゃもう美味い。
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