375 / 1502

第375話

ローテーブルに並ぶ2つの黄色。 その内の1つに箸を伸ばす長岡はご機嫌だ。 「うめぇ」 「良かったです」 もう1つの方もすごくうまい。 三条の分まで食ってしまいそうだ。 「正宗さんって魚好きですね」 「そうか? 普段炭水化物ばっか食ってるから反動じゃねぇか」 1人だと、つい麺類や炒飯なんかの手軽で腹が膨れてエネルギーになる物ばかり食べてしまう。 そろそろ食べ物にも気を使わないと中年期になる頃が恐ろしい。 中年腹だけは嫌だ。 遥登に格好良いと言って貰えなくなってしまう。 隣の恋人を一瞥するとそんな事は杞憂だと思った。 この子は人を外側だけで判断したりしない。 きっと、腹が出ても格好良いと思ったら格好良いと言ってくれるだろう。 三条はアボカドとサーモンを一緒に巻いた物を頬袋いっぱいに噛み締めている。 「美味そうな顔。 サーモンとアボカド?」 こっくんと頷いた三条と同じ物を作る。 醤油を垂らして齧り付いた。 「うめぇ。 やっぱ定番は外れないよな」  笑顔と食う飯はそりゃもう美味い。

ともだちにシェアしよう!