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第377話

「うし。 じゃあ、今年最初のキスだ」 「え、あ…」 顔を覗く様に口を吸われ頬がアツくなる。 見慣れる事のない綺麗な顔にドキドキと心臓が五月蝿い。 心臓まで好きだと言わなくても十分解っている。 「姫初めもするか?」 「……1日にはじめると上手になれませんよ」 「ははっ。 かわい…」 「祖母が言ってました。 神様に嫌われてしまうって…」 「色恋の神様か? いいねぇ。 なら、その神様と対抗しようぜ」 「ちょ、と…本気ですか……」 「本気」 顎を捕まれ緊張が走る。 鼻が触れる距離で綺麗な顔がにっと子供の様に笑った。 チュ…ッ 「初詣行くから帰ってきたらな」 「初詣…」 「今年も行くだろ?」 「はい…っ」 「良い返事だ」 今年も一緒に行ってくれるのが嬉しい。 一緒に外を歩けるのが嬉しい。 一緒にいられる事が嬉しい。 満面の笑みを浮かべる三条を見詰める眼差しは今年も愛に満ちている。

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