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第383話
ちゃぷちゃぷと水音が響く浴室。
2人は初詣で冷えた身体をあたためる。
短時間といっても冷えた身体に湯が気持ち良い。
「あったけぇ」
「はい。
あったかいですね」
長い脚の間に閉じ込められた三条は目の縁を赤く染めて頷いた。
そりゃ素肌をくっ付けているのだから照れるか。
恥ずかしい。
だけど、嬉しいと顔を見れば分かる。
三条は分かりやすい。
細い手を掴むとその指に唇をくっ付けた。
「さっき生意気だったから仕返しすんぞ」
湯温だけではなく赤くなった頭部に更にキスをする。
ぼこぼこと浮き出た背骨に水が伝うのが色っぽい。
びくっと肩が跳ね前方に逃げた。
だが、お世辞にも快適なサイズではない湯船の中だ。
手を伸ばせばすぐに腕の中へ抱き留められる。
胸に抱くとドッドッと早鐘を打つ心音が分かった。
「恥ずかしい?」
「はい…」
「じゃ、仕返し終わりな」
え?もう?と物足りなさそうな顔が此方を向いた。
その瞬間。
チュッ
「こっちが本当」
くりくりした目が大きく開かれ大人しくなった。
「俺のキス、下手になったか?」
唇を動かせばぶつかる距離で聴くと微かに首否する。
耳の後ろを撫でながらまた唇を堪能する。
「神様に嫌われても下手じゃねぇ?」
上下する頭に目を細めるとキスを繰り返した。
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