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第386話

ほかほかの風呂上がりの三条を脚の間に閉じ込め、髪を乾かす。 もうこれは特権だ。 両親だってしなくなったそれを長岡はし、甘やかす。 三角座りをした三条はそれを受けながらうっとりと目を閉じた。 「極楽です…」 「ははっ、そりゃ良かった」 強過ぎず弱過ぎずの力加減で頭まで揉んでくれる。 これが極楽じゃなきゃなんだって言うんだ。 「今日は賑やかですね」 「年越しだからな。 さんが日は賑やかで良い」 年越し番組は朝まで続き、流行りの曲から年明けに発売になる新曲まで沢山の音楽が流れてくる。 スタジオ観覧も賑やかで楽しそう。 知らず知らずの内に口角が上がった。 それに気が付いた長岡はそのしあわせを何重にも噛み締める。 触れる事の出来るしあわせは大きくて細くて子供体温。 「正宗さんの手、気持ち良いです。 寝そう…」 「ははっ、そりゃ良かった。 寝ても良いからな」 「次は俺が乾かすんです」 頭にタオルを被っただけの長岡を心配して三条は寝ないと言うが、あたたかな室温とドライヤーの温風、気持ちの良い手が心地好い眠気を誘い大きな欠伸をした。 すぐにぱっと手で口元を隠すが大きな欠伸だった。 長い時間をかけてこうした姿を見せてくれる様になり沢山見てきたが、絶対的な安心感がある。 自分が自分で良いのだと、猫など被らなくて良いと思える。 犬のように大きく尻尾を揺らしながら抱えた膝の上に頭を乗せテレビを眺めている三条が愛おしいしくてたまらない。

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