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第393話

「正宗さん…」 浴室から帰ってきた三条は湯上がり以外の理由で顔を赤らめていた。 これから脱ぐのに律儀に服を着込むのも三条らしくてグっとくる。 そんな疚しい思いを隠し、にっこりと微笑んだ。 「おいで」 胡座をかいた膝をぽんと叩くと三条はおずおずとやってくる。 そりゃ今からセックスをするんだから、恥ずかしがらない訳がない。 初な反応は男心を擽る。 それも、恋人を溺愛している長岡なら尚更だ。 膝を跨ぐと恥ずかしいとばかりに胸に顔を埋め隠した。 「すげぇ可愛いな。 今日は甘えたい気分か?」 「格好良いの方が嬉しいです」 「遥登が格好良いなんて分かってんだろ。 勉強も遊びも真面目にしててすげぇ格好良い。 尊敬してる」 「そこまで…、言われると恥ずかしいです…」 「俺の自慢の恋人だっていつも思ってる」 真面目で何事にも真摯に向き合う。 その姿に背筋が伸び、自分もそうなりたいと手を伸ばした。 今までよりずっと今の方が勉強していて楽しい。 年齢なんか関係なく尊敬している。 自慢の恋人だ。 首に腕を回し顔を隠した三条からボディーソープのにおいがした。 今からこのにおいを汚す。 そう考えるだけでゾクゾクする。 これに関しては死んでも治らないだろう自覚がある。 「だから、可愛いって言ってんだろ」 「ん…」 跨がれた脚があたたかい。 くっつく腹もだ。 「遥登」 自分の声に顔を上げたその瞬間、鼻にキスを落とした。 くりくりした目が見開かれ、あの目をした三条はごくんと生唾を飲み込んた。

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