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第414話

先に湯を貰い、髪を乾かしてもらった三条はあたたかな部屋で冷たい烏龍茶を飲みながらシャワーを浴びにいった長岡を待っている。 ぽけーっとテレビを眺めながら烏龍茶を一口飲んだ。 ニュース番組でさえ新しい一年がはじまった、新しい年号の新年だと伝えている。 正月の特別感は形容しにくい。 お祭り騒ぎと言うには厳かさがあり、神聖かと言われればそこまで神仏を信仰している訳でもない。 新しい1年の幕開けだが、それなら誕生日の方がキリが良いと思う。 なんとも不思議な日だ。 長岡の部屋はすっかり居心地の良い場所になっている。 その部屋だって長岡宛の年賀状が新年だと主張しているくらいだ。 脱衣場のドアの開く音に廊下へ続く扉を見ると恋人はすぐにやって来た。 「あちぃ。 遥登、烏龍茶まだあるか? 残ってたらくれ」 「飲み掛けですけど良いですか?」 ありがとうと受け取るとごっごっと 上下する喉仏がえっちだなと思ってしまう。 しっとりとした肌に張り付く髪も艶かしい。 …なに考えてんだよ 風呂上がりがえろいなんて正宗さんに失礼だろ テレビから聞こえてくる声に意識を持っていき、やらしい想像を振り払う。 今日は散々ヤった。 これからもう1ラウンド…なんて寝落ちる自信しかない。 「正宗さん、ここ座ってください。 俺が髪の毛乾かします」 頭から被ったタオルで乱暴に髪を拭う長岡に、三条は此処と定位置を指差した。 三条の事なら丁寧に甘やかすが自分の事に関しては無頓着な長岡を甘やかすのが三条の密かな楽しみ。 「んじゃ、お願いします」 「任せてください」 素直に定位置に座った長岡に、三条は大きく頷いた。

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