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第416話
三条が大きな欠伸をし出した。
目も心なしかとろんとしてきている。
こりゃ眠いな
昼寝したって言っても散々ヤったから疲れてんだろうな
「遥登、そろそろ寝るか」
「はい」
明日も正月休みで引きこもる予定なので夜更かしをしても構わないのだが、折角三条がいるなら寝顔も堪能したい。
読んでいた本をローテーブルに置いて長岡も寝る事にした。
「先ふとん入ってろ。
水飲んでくる」
「分かりました」
暖房で空気が渇いて喉も渇く。
長岡は水道から水を汲み飲み干した。
喉を通るのが分かる程冷たい水が美味い。
マグをさっと濯ぐとお揃いのそれの隣に伏せる。
たったそれだけの事なのに、それが嬉しいなんてすっかり首ったけだ。
毒気だらけだった長岡だが、三条の笑顔にすっかり解毒されている。
電気を消しながら寝室へ入ると恋人は律儀に座って待っていた。
いや、座って待つ様になったのだから大きな進歩。
後ろ手に扉を閉める。
長岡がベッドを軋ませながら横になると漸く三条の足がベットに上がった。
「ほら、抱きまくら」
「うわっ」
「ほんとあったけぇな」
三条の細い腕を掴んで自分の方へと引っ張る。
ぽすっと胸に埋まった細い身体。
あたたかくて良いにおいがする恋人をこうして抱き締めて眠ると、安眠出来る。
安心するんだ。
「正宗さん」
「ん?」
チュウ
「おやすみなさい」
「ん、おやすみ。
良い夢みろ」
「正宗さんも良い夢みてください」
夢の中でも会えたら良いなと願いを込めながら目を閉じた。
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