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第418話
長岡はコーヒーを飲みつつテレビを眺めている。
三条は1ヶ月後に迫った試験勉強中。
正月でも変わらない真面目な姿に背筋が伸びる。
姿勢はだらりとしているが。
お互いしている事は違うが、2人にとって心地良い空気が部屋を満たしていた。
特別な事がなくとも、お互いがいれば2人ともそれが良い。
それが特別だ。
「正宗さん、ここ教えて貰っても良いですか?」
「構わねぇよ。
どこだ」
隣に腰を下ろし、1年前の様に教えていく。
あの頃と違うのは、私服な事、此処が長岡の部屋な事、三条が大学生な事、沢山あるのに、ずぐあの日に戻れる。
ここと指差した箇所の説明をしていくと、空いたスペースにメモをとりはじめた。
今日はヒントだけでなく、詳しく説明していく。
うんうんと聴きながら書き込まれる丁寧な文字もあの頃と変わっていない。
だけど、懐かしい、に変わってしまった光景だ。
睫毛の1本1本がしっかり見える距離で教えられる今も大切な時間だが、ほんの少し寂しくもある。
「そっか」
「分かったか?」
「はい。
ありがとうございます」
「どういたしまして」
高校時代となんら代わりない笑顔が向けられ、あの教室のにおいが蘇る。
中庭から入る緑の風とA組のにおい。
楽しそうな声が聴こえてくる様だ。
いつも背中を押してくれる元生徒達。
まだまだ負けてなんていられねぇ。
ぽん、と頭に触れるとふわふわした笑顔が嬉しそうにはにかんだ。
こっちの笑顔は俺の特別で最愛。
この顔は学校じゃ見られねぇか
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