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第419話
「○○選手を先頭とした3人が付きました」
テレビから聞こえてくる声に手を止めそちらを観ると、風の様な人が前だけを見ていた。
早いと表現するより、風だと三条は思う。
ふわっと揺れる髪の毛が強く印象付けるのだろうか。
ただ、前だけを見て前だけに進む彼。
1年
同い年だ
○○高…
地元此処だ
三条はくりくりした目から色んな物を吸収していく。
貪欲に夢を追い、人の良さそうな顔をして牙を隠す同世代。
それが更に三条の背中を押す。
目指す物さえ違えど同い年の活躍は刺激になる。
それも、同郷だ。
もっと勉強したい
沢山したい
負けてられねぇ
「トップで襷を渡しましたっ」
三条の中に小さな芽が息吹いた。
これからまたすくすく育つだろう小さな芽。
負けてなんかいられない。
もっと、もっと、空を目指す。
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