419 / 1502

第419話

「○○選手を先頭とした3人が付きました」 テレビから聞こえてくる声に手を止めそちらを観ると、風の様な人が前だけを見ていた。 早いと表現するより、風だと三条は思う。 ふわっと揺れる髪の毛が強く印象付けるのだろうか。 ただ、前だけを見て前だけに進む彼。 1年 同い年だ ○○高… 地元此処だ 三条はくりくりした目から色んな物を吸収していく。 貪欲に夢を追い、人の良さそうな顔をして牙を隠す同世代。 それが更に三条の背中を押す。 目指す物さえ違えど同い年の活躍は刺激になる。 それも、同郷だ。 もっと勉強したい 沢山したい 負けてられねぇ 「トップで襷を渡しましたっ」 三条の中に小さな芽が息吹いた。 これからまたすくすく育つだろう小さな芽。 負けてなんかいられない。 もっと、もっと、空を目指す。

ともだちにシェアしよう!