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第420話
実況の声に顔を上げた三条はじっとテレビ画面を観ている。
あれだけの集中力がぷつりと切れた様にテレビを観るので長岡も視線をそちらに移動させた。
テレビに映るのは、恋人と同い年の青年。
時々三条達に思うのだが、この世代は技術の進歩の目まぐるしい新しい文化の中で育っただけあって人の良さそうな顔でとんでもない結果を残す。
近頃の若者は無欲だと言われるが、ちゃんとギラ付く物を持っている。
曲げられない──曲げたくない物をちゃんと握りしめている。
見た目からは分からないだけだ。
綺麗な目が一際大きく画面を写すとその選手はトップで襷を繋げた。
自分がそうである様に、この子にも同い年の選手の活躍が刺激になれば良い。
三条の可能性の芽がまた息吹けば良いと、その横顔を見つめていた。
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