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第429話

シャワーを浴びた三条は長岡の部屋着に身を包み、おずおずと寝室に顔を出した。 良いにおいのする服に抱き締められているような錯覚を起こすが、恋人は目の前でベッドにバスタオルを敷いて座っている。 「お待たせしました…」 「やっぱ俺の服着せてると独占欲が満たされるよな。 ほら、来いよ」 長岡の座るベッドの隣を叩くと、女の子達が喜びそうな顔で腕を引いた。 同性の三条でさえドキッとする色気を振り撒いて魅了悪い大人。 だけど、それすらよく似合う狡い人。 「正宗さん、あの…」 早速髪を撫でながらキスをしようとする長岡に待ったをかけた。 「本当に、腹の掃除しかしてませんけど…」 今日は腹の掃除だけにしろと言われその指示にしたがったが、本当にそれで良かったのだろうか。 いつもならシャワ浣で腹の中を掃除し、脱衣所に置かれているローションを使って軽く解すのだが。 ちらりと恋人を一別すると、ゆっくりと髪を撫でられた。 「それで満点だ。 他は俺が全部してぇの」 「でも…」 「させてくんねぇのか?」 「狡いです…」 ぐりぐりと首筋に頭を押し付けながら小さく抵抗するが、身体は疼いてしまう。

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