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第448話
「…さむ」
やべ、遥登1人にして寝ちまった…
ん?
肌寒さに目を覚ますと傍らの子供体温にまだ眠気の残る視線をずらした。
定位置ではなくすぐ傍らにある頭、旋毛が見える。
腕に顔を埋め肩を上下させる三条。
それに、細い指が自分のそれに絡まっていた。
くっそ可愛い…
半身を起こすと腹にブランケットがかかっていて、三条は隣で小さく丸くなっているだけだと知った。
自分が風邪ひいたらどうすんだ
ほんと、自分の事より他人を優先すんだからな
腹にかかっていたブランケットを細い肩にかけ、ありがとうと髪を梳いた。
優しい恋人の頭を撫でる、その手は優しくて愛情に満ちている。
いつからそうなったのか長岡自身にも分からないが、この笑顔と付き合うようになってからなのは確実だ。
この子が変えてくれた自分を友人達も好きだと言ってくれる。
丸くなったと言われようが、毒気がなくなったと言われようが、遥登が好きだと言ってくれるならなんでも良い。
この子がすべてだ。
ローテーブルの上には見慣れた文字の書き込まれた参考書とノートが拡げられたまま。
寝るつもりはなかったんだろうが、三条も眠気に誘われてしまったんだろう。
試験勉強の邪魔をしてしまったようだが、もう少しだけ邪魔をする。
今度は長岡が三条を抱き上げふとんに運んだ。
一緒に毛布にくるまり昼寝の続きを味わう。
チュゥ
おやすみ、遥登
丸い額に入眠の挨拶をするともう一度めを閉じた。
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