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第450話
「はい、到着」
「ありがとうございました」
いつも通り自宅近くに自動車を停めた長岡に頭を下げる。
と言っても、すぐに帰る訳ではない。
車内で談話を楽しんだりもう少しだけ2人きりの時間を楽しむ。
すっかりぬるくなったお茶を飲みながら手を繋いだり恋人同士の甘い空気に溶けていく。
離れがたいのはお互い様だった。
来週は成人の日で3連休。
早くもやってくる外泊日が待ち遠しい。
一緒に飯を食べて風呂に入って寝て。
そんないつもと代わり映えしない日々が楽しみだ。
そんな話をしている最中、ふと三条は辺りを見渡した。
「正宗さん」
「ん?」
チュ
「お茶代?」
「…です」
「肉まんの分は?」
大胆な三条に長岡の口元が緩む。
三条の心臓はバクバク騒ぎ、いまにも口から出そうな程だ。
でもお茶と肉まん代は支払わなければ。
なんて、都合の良い言い訳を使うが本当は三条がキスしたいだけ。
今度は肉まんの分だと反対側の口端に唇をくっ付けた。
「かわ…」
そして、楽しそうに弧を描く唇にちゅぅっとキスをした。
「………賄賂、です」
クスクスと楽しそうに笑う長岡に、三条はふぃ…と視線を逸らしたが喜んで貰えたならなによりだ。
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