452 / 1502
第452話
「あ、これテレビで観た。
お花のフレーバーがするんでしょ」
楽しそうな女の子2人。
「自分用のはちょっと奮発しちゃおうかな」
「知佳それにする?」
「うん。
未知子は?」
可愛らしい空間に、甘いチョコレートのにおいと女の子達。
よく似合う。
そして、可愛い。
やっぱり場違いじゃないかと肩身の狭い三条は友人2人の後ろを歩いていた。
「三条くん、ここ好きなお店だよね。
買う?」
「え、うん。
見ても良いかな」
「勿論」
知佳ちゃん未知子ちゃんの前で長岡にプレゼントするチョコレートを買うのはやっぱり緊張してしまう。
だけどショーケースを覗くと美味しそうなチョコレートがずらりと並んでいて、そんな事は頭の隅にいく。
定番のチョコレート色以外にも、白や緑、ピンク色にイラストの描かれた物まで様々だ。
チョコレートだけじゃない。
チョコレートのかかった焼き菓子も美味そう。
「これ、美味しそう」
「こっちも可愛い」
細長い身体を少し縮め甘いにおいに頬を染めた。
やっぱり、恥ずかしいと。
いくら友人2人が気にしなくとも他の人の視線が痛い。
目立つ身長も原因の1つなのは解るのだが。
「三条くん、熱い?」
「え?」
「ぽやってしてるよ」
「あー、恥ずかしくて…」
「気にする事ないよ。
今、令和だよ。
男の子が買っても変じゃないよ」
「そうだよ」
「ありがとう」
「うん。
あ、三条くんっ、あそこのお店の美味しそう!
私、ちょっと見てくるねっ」
確かに、夫婦や恋人以外の男性客もいなくはない。
自意識過剰だと肩の力を抜いた。
ついでにリュックの肩が落ちたのを直しながらもう1度、ショーケースに向き合う。
喜んでくれるかな
どれが好きかな
正宗さん
長岡の笑顔が思い浮かぶ。
ともだちにシェアしよう!

