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第453話

催事コーナーから離れると、甘くない空気が美味しい。 同じ様にチョコレートの入った紙袋をもった女の子2人も良い物が買えたらしく、楽しそうにしている。 やっぱり女の子は笑っている方が可愛らしさが引き立つ。 「三条くん、まだ早いけどこれチョコレート。 もう春休みになっちゃうから、どうぞ」 「これは私から。 三条くんには中々会えないから今渡しちゃうね」 「良いの? ありがとう」 三条はチョコレートの入った紙袋を両手にありがとうと微笑んだ。 吉田には悪いが、三条には長岡しか眼中にない。 愛おしい人は1人だけだ。 1人だけ悪いなと思いながらも、それとこれとは別として有り難くいただいた。 「今日誘ってくれたお礼とバレンタインのお返しにアイス食べに行こう。 新しく出来たお店知ってる?」 「良いのっ!? あそこ行ってみたかったんだ!」 「そんなつもりじゃなかったのに」 「俺もお返ししたいし、気にしないで。 ホワイトデーも春休みで会えないしね。 それに、誘ってくれて嬉しかったから。 あ、わらび餅の方が良い?」 本当にA組で良かった。 他のクラスは知らないが、こうして交遊関係が続いているのも嬉しい。 「じゃあ、甘えちゃお」 「私も。 アイスとわらび餅か。 どっちが良いかな」 「えー、どっちだろう」 可愛らしい女の子を先頭にデパートから出ると冷たい風が吹く中、スマホを頼りに甘味店を探しに出た。

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