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第457話

「綾登」 その声に、末っ子はきゃぁっと声をあげた。 自分の名前だと分かるのだろうか。 可愛くてたまらない。 「綾登は可愛くて賢いな」 嫌な事があってもこの笑顔をみると元気が出てくる。 無垢でなんの見返りもない末っ子の笑顔は、家族みんなの元気の源だ。 「綾登」 「あっ!」 「あーやと」 「あー!」 いつもにこにこしている三条だが、弟達の前でもそれは変わらない。 むしろそれにつられよく笑う。 「綾登のほっぺはぷくぷくだなぁ。 食べちゃうぞ」 「きゃぁぁ」 「ここにも、美味しそうなほっぺがある。 食べちゃうぞー」 「あきゃぁ!」 食べる真似をすると、それはもう嬉しそうに背中を逸らせて喜んだ。 勉強はし足りないがこの笑顔は学校にいたら見られない。 歳が離れている分沢山覚えていたいから春休みもしっかり楽しまなければ勿体ない。

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