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第458話
寝転ぶ長男の上に風呂上がりでほかほかの末っ子がのった。
転がり落ちないよう次男が抑えている。
「ほんと兄ちゃん好きだな」
「俺も綾登好きだよ。
なぁ、綾登」
「ぶーっ!」
「俺の方が兄ちゃんと長く一緒にいるし!」
「ははっ、優登も好きだよ。
当たり前だろ」
強火担同士の争いに三条は嬉しそうな顔をする。
弟達が自分を思ってくれる様に、三条も弟達が大好きだ。
ブラコンの気があるのも自覚している。
歳が離れている分可愛いと思うのは当たり前だ、と。
綾登が潰れないようにその上に頭をのせる次男の姿に、寝室の準備から帰ってきた母親は穏やかに声をかけた。
「楽しそうだね」
「ん。
綾登、寝る時間だぞ」
「綾登、寝ようか。
おやすみしようね」
「んーまー」
おふとんに行くよと抱き上げようとするも、兄の服をしっかり握り離さない。
「すげぇ力…」
「んーんーっ」
「良いよ。
俺が寝かせてくる。
優登も来るか?」
「ん」
携帯ゲーム機を手に立ち上がった優登に手伝って貰い綾登をおんぶして、まるで両手に花状態の三条は和室へ向かっていった。
擦れ違った父親は不思議そうな顔をしたが、大好きな母とゆっくり出来ると嬉しそうな顔をして隣に座る。
血は争えない。
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