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第459話

春一番が吹いた。 まだ2月になったばかりだと言うのに。 そんなニュースを長岡と並んで眺める。 2年前の大雪が嘘の様だ。 あの頃は毎日雪掻きに追われ、電車が止まったりしていた。 だが今年は雪が殆ど降らずして春が足元までやって来ている。 「早ぇな。 もう吹いたのかよ」 「隣の家の梅も、もう咲いてます。 去年は卒業式前に2輪だったのが、今年はもう10輪ですよ」 「マジか。 あっという間だな」 田舎にいると、季節は色んな所から感じる。 においや風、山の色や食卓に上がる食事。 それを身近に感じる事が出来るこの街が好きだ。 「桜が咲いたら、今年も花見に行こうな」 「はいっ!」 「握り飯持ってな」 「楽しみです!」 それに、今年は大きな違いが生まれる年だ。 三条に微笑むと、とびきりの笑顔が返ってきた。 握り飯が理由なのは悔しいが笑顔が見られて嬉しい事には代わりない。 頭をぽんぽんと撫でながら話に花を咲かす。 「約束ですよ」 「約束な」 夜桜を眺めながらデートもしたいと言うととびきりの花が咲いた。 桜も良いが、長岡はこの花の方が好きだ。

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