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第464話
前日の午後から申し訳程度に降りだした雪に交通手段が限られるかと思ったがそれは杞憂に終わった。
薄く積もっていた雪も朝にはすっかり溶け、歩きやすい道路を駅に向かって歩く。
空は青く春の様な気候に薄手のアウターを羽織ってきたが丁度良い。
まだ2月だと言うのになんて過ごしやすいんだろう。
梅の甘いにおいもしてきて本当に春みたいだ。
リュックの中の小さな紙袋の存在を感じながら逸る足取りを押さえきれない。
どんな顔が見えるのか考えるたけでわくわくする。
喜んでくれると良いな。
そろばん塾の鞄を持った小学生達が駆けていく。
元気な姿はすぐに近付いて来て、そうして擦れ違った。
楽しそうな声だけが道路に残り三条はまた駅に向かって歩き出す。
早く正宗さんに会いたいな
今日は久し振りにヘアセットした姿が見られるし楽しみ
スーツ姿も久し振りだもんな
喜んでくれるかな
どんな顔するかな
すっげぇ、楽しみ
どんどん軽くなる足取りを押さえながらいつもの様に駅へと向かう。
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