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第468話
「そうだ、遥登のも食おうか。
1人占めは狡いだろ」
包装を綺麗に解くと、三条の前に差し出した。
甘いにおいがふわっと香る。
三条が一所懸命選んでくれたとびきりのプレゼントだ。
どんな顔で選んでくれたんだろ、どんな顔で買ったんだろうと考えるととてもしあわせになれる。
「こっちは遥登が食わせて」
「え、あの…」
かぁっとより赤みの増す頬をすりすりと撫で拒否出来ないよう仕掛けていく。
それから三条の好きな低い声で駄目押しとばかりに名前を呼んだ。
「遥登、駄目か?」
「だ、め…じゃない、です」
ごくっと喉仏が上下する。
そんな緊張しなくても一所懸命な三条のキスが好きだ。
辿々しくても下手くそでも遥登だと解るそれが良い。
細い指が1つ摘まみ上げ笑みが深くなるのを抑えきれない。
チョコレートを銜えた三条が唇にそれをぶつけてきた。
目をキツく瞑り過ぎだ。
でも、初々しくてたまんねぇ。
なかなか口を開けずにいると服の袖を引っ張られてしまった。
困った顔も見たかったなんて言えばどんな顔をみせてくれるんだろうな。
「いただきます」
三条曰く、喰われる様なキスでそれを受け取る。
毎年貰ってるいるが、やっぱり美味い。
甘過ぎず花香がして口の中でとろりととろけた。
「美味いな」
「ん」
色っぽく次を強請る目に止まらなくなる。
優等生のこんなえろい姿をA組の誰が想像出来るか。
…してたらムカつくけど。
「おかわりしような」
次のもそうして食べ、三条から贈られた物も同じ数だけ2人の口の中で溶かして食べた。
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