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第504話

暖を求めて腕の中のあたたかな存在を抱き締める。 寝ている間にふとんから出て冷たくなった足を子供体温にくっ付けると渋い声が聴こえてきたがすぐにまた気持ち良さそうな寝息へと戻った。 眠い目を開ける事はしないが解る。 口元をゆるゆるにしてる筈だ。 きゅっと上がった口端は緩められてもにこやかだ。 穏やかな三条によく似合う笑顔。 顎の位置にあるサラサラした髪に顔を埋めて体温を分けて貰いながら眠る事の出来る冬の夜はなんて贅沢だろう。 同じボディーソープのにおいの筈なのにもっと良いにおいがする。 安心するにおいと言っても言い過ぎではない。 「ん…ま……」 夢ん中でなに食ってんだ 目玉焼きだろうか。 それとも、カレー。 からあげも好きだよな。 甘味もしあわせそうな顔で食べる恋人を思い出すと、長岡も口元が緩んでしまう。 起きたら聴いてみよう。 忘れてたって良い。 恥ずかしそうにはにかむ恋人が見られるはず。 それが見たい。 心地好い睡魔にうとうとしつつ、その微睡みを揺蕩っていた。

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