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第506話

すっかり目の覚めた長岡が三条の髪をいじくり遊んでいると、腕の中の恋人は目覚めた様だ。 寒さに抱き付いていた腕が遠慮がちに動き、胸に埋められていた顔がふとんから出る。 「おはよ、ございます」 「はよ」 まだ声は掠れているが、あれだけしたのに元気そうだ。 やっぱり若いってのは羨ましい。 寝起きでまだ眠そうな顔を撫でると、その顔はふにゃふにゃと溶ける。 いつも以上にふわふわした空気を纏いされるがまま。 「声掠れてんな。 なんか飲むか」 「歯磨きが先ですよ」 「はいはい。 んじゃ、洗面所行くか」 こうして甘えてくれる様になった三条は眠そうな目をして後ろを着いてくる。 一応確認に下半身を見るが、いつの間にか治まった様だ。 性的興奮のせいじゃないしそんなもんか。 歯磨きを済ませる間にも少しでも部屋があたたかくなる様に先に暖房をいれるが、部屋も廊下も冷える。 この温度に縮こまったと言った方が正しいのかも知れない。 「なにか…?」 「いや。 でかくなったなと思ってただけだ」 長岡のはぐらかしに小首を傾げる背中を押し身支度を薦める。

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