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第508話
目玉焼きとハムを焼きをトーストの上にのっけて、簡単に遅い朝飯を済ます事にした。
遥登の好きな半熟で焼き上げる為に先にパンを焼きはじめる。
パンは三条に任せ、目玉焼きとコーヒーの支度に取り掛かる。
ケルトを火にかけ、殆んど中身の入っていない冷蔵庫を漁りながら一緒にレタスも挟むのも美味そうだとそれを見付けた。
お湯に潜らせれば蘇るだろう。
ウインナー位買っておけば良かったな
牛乳も買い足さねぇとだし、買い物行かねぇと
「そういや、遥登、寝言で美味いつってたけど何食ってたんだ」
「俺、そんな事を言ってたんですか」
「んまってな」
くりくりした目が自分を捉えた。
驚きと羞恥にはにかむ。
長岡の想像通りの反応に笑いそうになるのを堪えてハムとたまごをフライパンに落とした。
「…いつも寝言言ってますか…?」
「いや。
俺が起きてる時は殆んど聴かねぇよ」
「美味しい物を食べてた気はするんですけど、よく覚えてないです」
ジワジワと音をたてるたまごに塩と胡椒を振り掛けあとは良い具合で取り出すだけ。
こんな簡単な事であの笑顔が見られるんだから目玉焼き様々だ。
夢ん中の食い物に勝てるかは分からないが、とろっとろの半熟で取り上げてやろうと頃合いを見図る。
三条の事になると子供みたいになってしまう。
トースターを覗く後ろ姿にどうしようもなく独占欲が沸いてくる。
「あ、焼けましたよ」
「火傷すんなよ」
ハムの縁がカリカリしてきた頃、タイミングよく焼き上がったパンの上にハムと目玉焼きをのっけた。
ぶんぶんと揺れる尻尾が見える嬉しそうな顔。
「コーヒーは俺が持ってくから先にパン持ってってくれ」
「はい」
犬みたいな後ろ姿に今日も甘やかしまくろうと決めた。
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