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第509話
「いただきます」
「いただきます」
あー、と大きく口を開けてトーストにかぶり付いた。
サクッとしたトーストにハムの塩気とトロッとした目玉焼きが美味しくて、やめられない。
頬袋いっぱいに頬張った。
やっぱり長岡の焼いてくれる目玉焼きは特別美味い。
しあわせそうな顔をして噛み締める三条を見て長岡もまた一口齧り付いた。
「んーま」
「そりゃ良かった」
「たまごとろとろで美味しいです」
勿論、焼き加減や味付けもそうだが、大好きな人と一緒に食べる食事はなにより美味い。
ゆるゆるの筋肉を動かし噛み締める。
長岡は手さっと払うとコーヒーを啜った。
テレビを観る日常の何気ない動作さえ様になる。
ほんと、いつ見ても格好良いよな
顎のラインとかすげぇ綺麗
骨格から綺麗なんだろうな
だらりとしていても、その顔立ちが引き立つのは狡いとしか言えない。
学校とは違い丸まった背骨だって気だるげで長岡の魅力を引き立てている。
真面目な長岡先生の自宅とは思えない、本があちこちに詰まれた部屋もだらりとしながら本を読む姿もセットをしていない髪だってよく似合っている。
「どうした。
おかわりか?」
「あ、いえ、大丈夫です」
「見惚れんなよ」
「あ…」
バレてたらしい。
恥ずかしい。
でも、楽しそうな長岡の顔が見られるからそれも良いか。
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