516 / 1502
第516話
長岡が作ってくれる料理はどれも美味しい。
特にカレーとたまご料理が好きだ。
たまご料理は火加減が抜群でとろとろふわふわで、どの料理も食べるとしあわせの味がする。
隣に長岡が居るからより美味いんだろうな。
スプーンでチャーハンを掬うとはぐっと頬袋いっぱいに口にした。
今日もすごく美味しい。
「美味いか?」
口に物が入っているので頷いて美味しいと伝える。
シンプルな具材と味付けだが、胡椒がピリッと味を締めていてとても美味しい。
「良かった」
長岡もチャーハンをまた食べた。
ふと表情を緩める長岡の格好良いことといったらない。
部屋にいる時の長岡の方が表情豊かで好きだ。
勿論、学校で背筋を伸ばしスーツをしっかり着込んでいる長岡も好きだが。
美人は3日で飽きるなんて言うが、長岡は3年見ても飽きない。
綺麗な顔も骨格も、何度見ても格好良いしいまだうっとりする。
低い声だって好きだ。
どこから見ても格好良いよな
もぐもぐと頬袋を動かしながら隣を見ると、長岡も此方を見ていた。
ごっくんと飲み込むと一層楽しそうに笑う。
は、恥ずかしい…
「美味そうな顔してんな」
「美味しいですから」
咀嚼しているところを見られたのも恥ずかしい。
人の咀嚼姿なんてあまり綺麗なものでもないと思う。
麦茶を飲み気持ちを落ち着ける三条の目の前にエビチリののったスプーンが差し出された。
「ほら、あーん」
「いただきます」
おずおずと口にすると、とびきりの笑顔が咲く。
あぁ、やっぱりこの顔に勝るものはない。
ともだちにシェアしよう!

