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第521話
昼飯を食べていると、ローカルニュースを話していたキャスターが不穏な事を言い出した。
ここ1、2週間はそんなニュースがじわじわと世界を侵略している。
真っ直ぐにテレビを観る三条には、どう写っているのだろう。
豊かな感受性は何を感じている。
不安になってなきゃ良いけどな
でも、乳幼児のいる遥登の家には他人事には出来ねぇよな
食べる手を止めてしまった三条になんと声をかけたら良いのか考えた。
「遥登」
「はい…?」
「美味いか?」
「え、はい。
美味しいです」
「食べ終わったらなにする?」
「正宗さんは、なにしたいですか。
それが良いです」
「昼寝も良いな。
でも、本も読みてぇ。
ゲームもな」
小さく笑いだした三条に安堵する。
まだ、これだけで笑う余裕はある様だ。
「全部しましょうよ。
昼寝して、本読んでゲームしましょう」
「良いのかよ」
「はい。
俺は正宗さんと一緒に居れたら嬉しいですから」
「んな事言ってタラシかよ」
「タラシって…。
それは正宗さんでしょう」
人の事をなんだと思ってるんだ…。
最愛の恋人がいて他人をタラす訳ねぇだろ。
いなくてもタラさねぇけどな。
興味もねぇ。
「遥登だけだろ」
「…はい」
「照れてんのか。
ほんと可愛いな」
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