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第524話

ゆっくりと車を停車させると三条が頭を下げた。 「ありがとうございました」 毎回丁寧に感謝の気持ちを伝えてくれる。 律儀な三条らしくて好きだ。 「どういたしまして。 デート楽しいな」 「はい。 楽しいです」 少し遠回りをして自宅へ送り届けるデート。 そんな事しかしてやれないが、三条は楽しいと笑顔を見せてくれる。 本当に優しくて良い子だ。 「正宗さん、チョコレートありがとうございました」 「俺の方こそ、ありがとうございました。 美味かったな」 「…はい」 長かった様だが2連泊。 バレンタインのチョコレートを口移しで食べたのはほんの2日前の事なのか。 三条と居ると時間があっという間に過ぎていく。 それだけ楽しいんだ。 本を読んで飯を食って、昼寝して、ゲームをして、セックスをして。 そのまま眠る事だって多い。 だけど、その全ての事に三条が居てくれると色を変える。 「来年も期待しとけ。 同じののおっきいの買ってやる」 「あ…」 「好きだろ」 「…好き、です」 「どっちが?」 マフラーを引き上げ顔を隠す恋人の手を握ると、握り返してくれた。 「……正宗さん」 チョコか食い方か聴いたつもりだったんだけどな ま、可愛いから良いか 「俺も遥登の事、すげぇ好き」 あー、連れて帰りてぇ…

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