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第525話
立春は過ぎたが、まだまだ冷えるので湯船に浸かりあたたまる。
三条は綾登も使えるボディソープで身体を洗い清潔なにおいを身に纏っていた。
長岡の部屋のにおいを上書きしてしまうがこればかりはどうする事も出来ない。
チョコ、喜んで貰えて良かった
それに2日も泊まれたし
濡れた前髪からポタポタと雫を滴ながらぼんやり思い出すのは優しく自分を見る恋人。
アラームをかけず昼寝をして寝過ぎたなと笑ったり、チョコレートを口にしながら蠱惑的な微笑みを称えたり沢山の笑った顔。
どれも好きだ。
授業中見ていた真面目な顔も勿論格好良いが、やっぱり笑顔が1番しあわせな気持ちになる。
長岡が笑っているだけでしあわせになれるなんて、単純で良かったと思わずにいられない。
元々きゅっと上がった口角を更に上げながら三条はふわふわとしたあたたかな何かに揺蕩う。
それは長岡という存在であって、しあわせという感情でもあって、とても不思議な気持ちだ。
来週はちょっと早起きしてパンお土産にしよ
あのお店、コッペパンのサンドイッチ美味いんだよな
からあげパンとカツサンドと、甘いのも
昼に一緒に食えたらどんなに美味いか、想像するだけでふにゃふにゃになる。
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