527 / 1502

第527話

炬燵に入ってぼーっとテレビを眺めている三条はまるで歳をとった錯覚に陥る。 綾登と母親は和室で昼寝中。 小さな大怪獣の寝静まった部屋はとても静かだ。 すげぇゆっくり時間が過ぎてくな 老後ってこんな感じなのか…? すっかり冷めたお茶を飲みながら再放送のドラマを観ていると、平和だなとしか思えない。 目の前に転がる蜜柑を剥いて1つ口に放り込んだ。 甘くて少し酸っぱい。 皮に顔が書いてあるのは午前中にこれで綾登と遊んでいたから。 もぐもぐと口を動かしながら、暇だ…と勉強道具に手を伸ばしパラパラと参考書を捲る。 高い目標に並ぶには沢山の事を勉強しなければ。 もっと沢山の事が知りたい。 最後に解いたページを見付けた三条はシャーペンをノックしながら目を通していく。 古典の魅力に填まったらもうどっぷりと浸かり、今は古典作品を読むのが楽しい。 もっと読みたい欲が知識を求め、知識を付けると面白さをより深く知れる。 長岡から教えてもらったロマンはとても魅力的で、まだ粗削りだけどそれが楽しい。 もっと、もっとを求めるのは目標が高いからだ。 そこから見える古典の世界はどんな世界なのだろう。

ともだちにシェアしよう!