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第536話

脱衣徐から出ると丁度良く玄関が開いた。 冷たい空気と共に帰宅したのは兄。 優登は濡れた頭にタオルを被りながらにこにこと声をかけた。 「おかえり」 「うん。 ただいま」 兄ちゃんはまた良いにおいをさせて帰ってきた。 マフラーに顔の半分を埋めたままスニーカーを脱いで湿気ったのか靴下さえ脱ぎ去った。 裸足でペタペタと此方に来ると、ぽいっと靴下を洗濯籠に入れる。 「風呂、兄ちゃんが最後だからよろしく。 あと、麦茶俺が飲みきっちゃって作ったばっかりで薄いよ」 「分かった。 風邪引くなよ」 なんのにおいだろう。 良いにおい。 「兄ちゃん」 「ん? どうした」 「兄ちゃんも風邪引くなよ」 「気を付ける」 階段を上り部屋を目刺しながら考えるのは思春期独特な事。 やっぱりえっちぃよな

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