ニャースから聞こえてくる内容に嫌気がさしてきた。 くだらない言い争い。 意味のない討論。 どうでも良い。 人間は神じゃない。 神にもなれない。 出来る事をするしかないんだ。 譲り合えば余りが出る。 そう学んだ筈なのに。 「うーっ、うっ！」 「どうした？ パンパンマン観たいか」 へへぇと笑う無邪気な笑顔。 この笑顔は宝物だ。 人間は無力だ。 自然には勝てない。 目に見えない物に勝てない。 だけど、無力さを知っていれば強くなれると信じている。 あたたかな世界に暗い影が落ちていく。 だけど、灯りがあるから影が出来る。 それを再認識した。 「パンパンマン観ような。 これにしようか」 嬉しそうに抱き付いてくるあたたかな体温に笑顔を向けると、嬉しそうに手を伸ばしてきた。 ぷにぷにの可愛い手がぺちっと顎に触れる。 この子を守れるのは大人だ。 その為にもまずは不安になんかさせてはいけない。 小さな弟の隣でいつものふにゃふにゃした顔をしながら、美味しそうな勇気の味方を見守る。