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第542話

後部座席に乗り込んだ三条はギャップを外し、いつもの顔で微笑んだ。 「正宗さん、おはようございます。 お願いします」 「はよ。 ん、 任せとけ。 デート楽しみだな」 「はいっ」 綺麗な笑顔が返ってくると胸がきゅぅっとときめく。 あぁ、やっぱり長岡が好きだと思うには十分。 三条がシートベルトをしたのを確認すると自動車はゆっくりと動き出した。 「朝からデートなんて久し振りだな」 「はい。 今日は晴れてて気持ちが良いですね」 ポカポカとあたたかな日の光が降り注ぐ。 気持ちの良い朝だ。 恋人の愛車内も長岡のにおいでいっぱいでなんだか擽ったい。 ゆっくりと目を閉じ心地好さに身を任せる。 長岡の気配がすぐそこにある。 安心出来る空間。 「遥登、昼飯買っても良いか?」 「はい。 それは構いませんけど」 「パン屋行こうぜ。 もう少しデートしながら、どっかで食おう」 車内だけどなと付け加え笑う長岡に同じものを返した。 何処だって良い。 長岡と一緒ならとびきりだ。 「楽しみです!」 「俺も楽しみだ」

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