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第547話
「遥登」
キスの合間に何度も名前を呼ばれる。
「遥登…」
長岡の声は低くて甘くて、耳が擽ったい。
「遥登」
こんなの溶けてしまう。
「正宗さん…」
鼻が触れ合う距離で頬笑む恋人に、自分から唇を押し当てた。
やわらかくてあたたかくて、キスをするたびに好きなんだと実感する。
しあわせな気持ちが身を包む。
「そんなにキス好きかよ」
「正宗さんが好きです」
「ほんと、たまんねぇ」
弧を描いたままの口がキスをした。
触れただけの唇から色んな思いが伝わってきて長岡に溺れる。
どうせなら溺れ死にたい。
上唇を食まれ驚き目を開けるとギラギラした目が楽しそうに細められた。
「俺も遥登が好きだ」
からかわれていると分かっていても、長岡に構って貰えるならなんだって嬉しい。
「俺の方が、好きです」
「じゃ、どれ位好きか教えて貰おうかな」
「子供みたいです…」
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