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第565話
まだ眠たい目をぼんやり開けると旋毛が見えた。
随分と前に見えなくなった頭の天辺。
それと気持ち良さそうな寝息が聴こえてくる。
目を開けた瞬間、広がるこの景色が好きだ。
恋人と寝ている時しか見る事ので出来ない光景は、なんて贅沢なものだろう。
まだ寝てんのか
疲れただろうしな
さらさらの髪に指を入れ梳いた。
手から溢れていくそれは本人の様に真っ直ぐで癖がなくて触れていて気持ちが良い。
旋毛にキスをすると細い身体がもぞっと動いた。
起こしてしまっただろうかと動きを止める長岡に三条はよりくっ付いてくる。
額を擦り付け安心出来る場所に収まるとまた寝息が聴こえてきた。
かわい…
日頃の大人っぽい印象は長男だからあまり甘えない事でより強調されているが、本当は甘えたで無邪気だ。
だから、こうして本心を晒け出してくれると年相応の子供なのだと安心する。
肩までふとんを引き上げ起こしてしまわないように恋人を堪能していく。
同じボディソープのにおいも三条からだと、いつもの清潔なにおいと混ざってもっと良い物の様に思える。
そのにおいが少しでも自分に移れば良いなと本気で思う。
あー、なんか飲みてぇな
遥登が起きた時の飲み物も持ってこねぇと
セックス後の昼寝から目を冷ますといつも声がガサガサで水分を欲する三条。
飲み物なんて言うがほとんが自分の飲み掛けのコーヒーなのだが。
だが、いつもは甘いそれしか飲まないのに事後だけは甘くない物を口にする姿はなんとも言えない。
もう少し堪能したら用意しとくか
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