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第569話

結局三条が戻ってくる頃には素麺を湯がくだけになっていた。 あれだけの回数を交わり射精したのだから結腸の方にまで入っていても頷ける。 実際、結腸を刺激するそういうプレイもした。 だから、いつもならあの処理で事足りる筈なのに今日は残っていた。 掻き出したつもりでいたが、あの時は奥に溜まったままだったと言う事だ。 三条には悪いが、それはそれですごくいやらしくてグッとくる。 ふわふわのたまごに青葱と蒲鉾がのった柔麺を啜ると三条の口端がきゅっと上がった。 美味い時の顔だ。 「美味しいです」 「そりゃ良かった。 握り飯も食えよ」 「ありがとうございます」 まだ気だるそうな雰囲気を纏っているが、性欲と食欲は似ている。 食事を済ませれば大分落ち着くだろう。 また一口分箸で持ち上げると冷ましてから啜る姿はなんとも色っぽい。 「なぁ、遥登。 うどんと柔麺、どっちが好みだ?」 「どっちも好きですけど…。 そうですね、あえて言うならうどんですかね」 好き嫌いのない三条にとって、特に好きな物以外は平等に好きなのだろう。 そこに優劣はないのはなんとなく分かる。 なんでも美味しいとにこにこした顔で言うのは見ていて気持ちが良い。 「ほうれん草とかきたまのうどん、また食べたいです」 「あったかくなる前に食おうか」 「はいっ」 三条にとって嫌な思い出のないものなら、今度は笑い合って食おうな。

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